理学療法士になるには?免許取得までの流れと必要とされる3つのスキルを紹介
- 理学療法士
理学療法士とは、病気や事故によって身体に障害を抱えた人や、高齢の方の身体機能の維持や向上のサポートを行う医療スタッフのことで、障害の悪化の予防、身体の機能回復を目指し、治療や運動の指導を行う医学的リハビリテーションの専門家です。
Physical Therapist(PT)とも呼ばれ、医学的な視点と社会的な視点で治療の対象となる一人ひとりの身体能力、生活環境などを評価し、最適だと考えられるプログラムを作ります。病院や介護施設のほか、プロのスポーツチームなどに所属して仕事をしている人もいます。
自分が怪我をしたときにお世話になった経験から「自分も怪我をしてしまった人を励ましながら回復をサポートできる理学療法士になりたい」と理学療法士の道を志す方もたくさんいらっしゃいます。
この記事では、理学療法士になるためにはどうしたらいいのか、大学・養成所での教育や国家試験・免許取得について、さらに理学療法士に求められるスキルについて詳しくご紹介します。
理学療法士はとてもやりがいのある仕事です。人の役に立つ仕事がしたいという方も、これからの進路に迷っている方もぜひ記事を参考にしてみてください。
目次
教育から理学療法士国家試験までの流れ
人間の身体の動作の専門家である理学療法士を名乗ることができるのは、免許を持っている人のみです。
国家資格である理学療法士になるためには国家資格を取得する必要がありますが、独学で勉強をするだけでは国家試験を受験することはできません。
理学療法士の国家資格を受験する場合は、3年以上養成校で理学療法士についての勉強をする必要があります。
作業療法士の資格を有している方は2年以上養成校で学べば受験資格を得られます。
【1】高校卒業|大学卒業
日本理学療法士協会によれば理学療法士の養成校は全国に261校ありますが、その中で4年制大学は106校、3年制の短期大学は6校あります。
4年制大学では、理学療法士の仕事をするうえで重要となるスポーツリハビリテーションや基礎医学、介護予防、内部障害、運動器、神経系、小児などについてしっかり勉強することができます。
学内実習や臨床実習もあるため、大学に通いながら実践的な経験を積むことができるのも4年制大学の魅力です。
研究者のニーズも高まっている現在では、さらなる研究のために大学院に進むという選択肢も考えられます。
理学療法士に求められる知識や技術について、じっくり時間をかけて幅広く学びたいという方におすすめです。
【2】高校卒業|短期大学卒業
短期大学は6校あり、3年制のため大学よりも1年早く卒業し、理学療法士国家試験の受験資格を得ることができます。
短期大学は4年制の医療系大学に併設されていることが多いため、大学と同じ環境で講義や実習を受けられるのがメリットです。
3年間で幅広い教養を身につける必要があるためカリキュラムはタイトになるなど、時間をかけてしっかり学んでいきたいという人にとっては大変な面もあるかもしれません。
4年制大学への3年次からの編入も可能であるため、もっと知識を深めたい、研究を続けたいという方は編入の選択肢もあります。
【3】高校卒業|理学療法士養成校卒業
理学療法士の専門学校には3年制と4年制がありますが、両者の大きな違いが取得できる称号の違いです。
- 3年制…専門士
- 4年制…高度専門士
4年制の場合は、大学を卒業したのと同等以上の学力があると認められた高度専門士の称号を得ることができます。この称号は学歴の証にもなり、就職する際に有利になります。また、大学院の入学資格も得られます。
3年制の場合は1年次に教養基礎、2年次に専門科目、3年次に臨床実習を学びます。2年間勉強して、その後の1年で実習を行います。
4年制の場合、1年次は同じく教養基礎ですが、2年次は専門基礎科目、3年次に専門科目を学び、4年次で実習に入ります。
【4】高校卒業|特別支援学校
高校卒業以上の視覚障害者の方が対象の職業課程として、理学療法科を設置している特別支援学校もあります。
卒業することで学士の称号を得ることができ、理学療法士国家試験が受験可能となります。
【5】中学卒業|高卒認定を取得してから
理学療法士の大学や短大、専門学校に通うためには高校を卒業していなければいけません。そのため、高校を卒業していない場合は、まずは高卒認定試験を受け、合格する必要があります。
高卒認定の取得後、自分の希望する大学・短大・専門学校へ進んで理学療法士を目指します。
理学療法士国家試験から免許取得までの流れ
理学療法士養成校でさまざまな知識や技術を身につけ、卒業した後に国家試験を受験できるようになります。
より専門的な知識を身につけたいという方や、研究職を目指したい方は資格取得後に大学院の修士課程・博士課程に進むという選択肢もあります。
キャリアプランを立てて、自分の目指す道へ進んでいきましょう。
国家試験の受験
理学療法士になるための国家試験は毎年2月に行われます。この試験に受かり、理学療法士の資格を取得すれば理学療法士を名乗ることができるようになります。
2019年2月に実施された「第55回理学療法士国家試験」は受験者数12,283人、合格者数10,608人と86.4%もの方が合格しています。
試験問題は一般問題が1問1点、実地問題が1問3点となっており、第55回理学療法士国家試験の合格基準は下記のようになっています。
- 総得点…167点以上/277点
- 実地問題…43点以上/120点
受験料は10,100円で、筆記試験と口述試験・実技試験が2日に分けて行われます。
- 筆記試験…北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、香川県、福岡県、沖縄県
- 口述試験・実技試験…東京都
国家試験受験の手続きに必要な書類は養成校から入手可能です。
合格発表の確認方法
理学療法士の国家試験の合格発表は、厚生労働省ホームページの資格・試験情報のページで確認することができます。
2021年2月21日、22日に実施される理学療法士国家試験の場合、約1ヶ月後となる3月23日の14時に合格発表が行われます。
理学療法士免許の申請
国家試験に合格した後は、免許申請を行うことで理学療法士として仕事ができるようになります。この免許申請を行わず、有資格者名簿に登録される前に仕事を始めてしまうと行政処分の対象となるためくれぐれも注意しましょう。
必要事項を記入し、住所地の保健所に書類を提出して申請します。
- 免許申請書
- 診断書(発行日から1ヶ月以内のもの)
- 住民票の写し(発行日から6ヶ月以内のもの)
- 9,000円分の収入印紙(登録免許税納付のための手数料)
- 登録済証明書用はがき(免許証ができあがるまでの3ヶ月の間、有資格者であることを証明できる書類)
免許申請から約2ヶ月〜3ヶ月ほどで、理学療法士免許証ができます。届いた免許証交付通知はがきを持って保健所窓口に出向き、免許証を受け取りましょう。
理学療法士に必要とされる3つのスキルとは
最後に、理学療法士になるためにはどんなスキルが必要か、求められるスキルや能力をご紹介します。
健康な肉体と精神
理学療法士の仕事には豊富な知識も求められますが、それだけでなく、体力的なタフさも求められます。
医師の指導のもと、患者さんに対して訓練や治療運動を行う時は患者さんの身体を支えて、身体に力を加えることもあります。
そんな時、患者さんを不安にさせることなく、安心して治療が行えるよう、理学療法士は健康な肉体と精神を保つ必要があります。日頃からしっかりと体調管理を行うようにしましょう。
向上心
理学療法士になるためには養成校に通って勉強し、国家試験を受ける必要がありますがそこで勉強は終わりではありません。
免許を取得し、理学療法士として働き始めてからもリハビリに関する新しい知識や技術を研究し、学び続ける向上心が求められます。
担当医師がリハビリに詳しくない場合は、理学療法士が主体となって適切な処置を判断することもあります。
思いやりの気持ち
病気や怪我によって身体に障害を抱えることになった患者さんは肉体的にだけでなく、精神的にも大きなダメージを負ってしまうこともあります。
そんな中で思うように身体を動かすことができなかったり、つらかったりするとどうしてもリハビリに対してモチベーションを保つことができず、消極的になってしまうこともあります。
理学療法士はそんな時も患者さんの心に寄り添い「患者さんは何を求めているか」「そのために自分ができることは何か」と考え、行動する必要があります。
患者さんと近い距離でサポートする理学療法士だからこそ、患者さんの心の支えになることができます。思いやりの気持ちはいつでも忘れないようにしましょう。
まとめ
理学療法士になるために必要な養成校での勉強や、国家試験、理学療法士免許申請、理学療法士に必要とされるスキルについてご紹介いたしました。
理学療法士となるためには、高校を卒業し養成校(大学・短大・専門学校・特別支援学校)で3年以上勉強をする必要があります。
養成校にはいくつもの選択肢がありますが、中でもおすすめなのが時間をかけて知識や技術を習得できる4年制大学です。
「日本保健医療大学」は即戦力として活躍できる人材の育成に力を入れており、実習授業が豊富なため在学中に実践力をしっかり身につけることができます。
また、国家試験合格のための「出題傾向の正確な情報提供」「教員による学習計画・学習方法のアドバイス」「試験結果の検討とアドバイス」「受験から登録までの手続きのサポート」と対策も万全です。
最新の施設や設備など一流の理学療法士を目指せる環境の中でじっくり基礎や専門科目を学び、実習で実践力をつけていきたいという方はぜひ一度「日本保健医療大学」までお気軽にお問い合わせください。