准看護師とは?免許の取得方法・仕事内容・メリットとデメリットを詳しく解説!
- 看護師
医師や看護師と連携して患者のケアを行う准看護師。
「具体的な仕事内容は?」「看護師との違いは?」など、さまざまな疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
金銭面ですぐに正看護師になるのが難しい方などがまず目指すのが、准看護師です。
また、准看護師は受験のために必要な養成期間が短いため、働きながら勉強し、その後、正看護師の資格を取得することもできます。
この記事では、准看護師の具体的な仕事内容、必要な資格、看護師との違いを詳しく紹介します。
目次
准看護師とは?看護師との違い
准看護師は、医師や正看護師の指示を受けながら診察時の補助や療養をする専門職です。
一般的に呼ばれる看護師は正看護師のことで、医療従事者という根本は准看護師と同じですが、自分の判断で業務を行えないという点で大きな違いがあります。
准看護師は自分の判断で業務を行うことができず、業務を行う際は必ず医師か正看護師から指示を受けなければいけません。
准看護師制度が導入された理由には、戦後の病院増設に看護師の需要が追い付かないという背景があります。当時の女性は高校進学率が低く、看護師を十分に増やすことができませんでした。
また、医療の安全やチーム医療が重要視されたことで、現在は国民のニーズに合わせる形で准看護師の看護師資格取得を推進するための進学支援にも取り組んでいます。
准看護師になる方法
上記でも軽く触れましたが、准看護師と正看護師では「業務の進め方」と「免許」で大きな違いがあります。准看護師は、年齢や経験に関わらず看護師へ指示を出すことはできません。
ここからは、准看護師になる方法、試験の概要、合格率を詳しく紹介します。
准看護師免許の取得
准看護師になるには、准看護師免許を取得しなければいけません。試験を受験するには、下記の過程を修了している必要があります。
- 高校を卒業している場合⇒准看護師養成所で2年の課程
- 中学を卒業している場合⇒准看護師養成所で2年、または高校の衛生看護科で3年の課程
看護師は国家試験の合格を経て厚生労働大臣から免許を受けるのに対して、准看護師は都道府県試験の合格を経て知事から免許を受けます。
准看護師養成所は全日制と半日制があるため、仕事をしながら空いた時間に学校へ通い資格を取得することもできます。
准看護師試験の基本概要
准看護師試験は各都道府県で年に1回のペースで開催されており、毎年2月上旬から中旬にかけて実施されています。都道府県により試験日が異なるため、複数の会場で受験することができます。
2月上旬から中旬にかけて試験が実施され、3月上旬から中旬にかけて合格発表があります。試験は1問1点の全150問で、出題される科目は下記の通りです。
- 人体の仕組みと働き
- 食生活と栄養
- 薬物と看護
- 疾病の成り立ち
- 感染と予防
- 看護と倫理患者の心理
- 保健医療福祉の仕組み
- 看護と法律
- 基礎看護
- 成人看護
- 老年看護
- 母子看護及び精神看護
受験する会場の要項(試験日、会場、書類提出期限、必要書類、手数料など)を確認した後、都道府県が実施する試験を受けます。
准看護師試験の合格率
准看護師試験の合格率は、毎年96~99%という高い水準で推移しています。
厚生労働省が令和4年4月8日に発表した最新の調査でも、令和3年度の准看護師試験の合格率は98%という高い数値を記録しています。養成所の卒業生は98.9%の合格率です。
過去5年間の合格率は下記を参考にしてください。
- 2017年⇒97.5%
- 2018年⇒96.9%
- 2019年⇒96.2%
- 2020年⇒99.0%
- 2021年⇒98.9%
看護師国家試験の2022年の合格率は91.3%なので、看護師に比べれば受験資格を得るまでの期間も短いため、比較的ハードルは低いといえます。
准看護師の仕事内容
ここからは、准看護師の具体的な仕事内容を紹介します。
仕事内容は正看護師と変わらない
准看護師は、正看護師と具体的な仕事内容は変わりません。主な内容は下記の通りです。
- 点滴、注射、採血
- 診療や施術の補助
- 患者へのサポート
- カルテの記入
- 血圧や体温のバイタルチェック
- ナースコールへの対応
- 夜勤巡回
- カンファレンス参加
これらは准看護師だけではなく正看護師も行う仕事なので、具体的な仕事内容は変わりません。
また、准看護師免許は各都道府県知事が発行するものですが働く場所は問われないため、全国どこでも免許さえあれば働くことができます。
仕事内容は変わりませんが、准看護師は看護師のように管理職へ昇進ができません。主な仕事場所は現場になるため、年齢を重ねると仕事が辛くなる方が多いようです。
さらに、患者の入院から退院までをどのような目標を掲げて過ごしてもらうかを考える看護計画の立案も、准看護師ではできない仕事の一つです。
看護師は看護大学に通う段階で看護計画立案の方法を学びますが、准看護師養成学校では授業内容に含まれていません。立案ができない理由は、事前に教育がされないからです。
仕事内容は同じだが正看護師とは役割が違う
准看護師と正看護師は同じ医療従事者で仕事内容も変わりませんが、仕事の進め方や役割が違うという点が挙げられます。
医療従事者には保健師助産師看護師法という法律があり、准看護師には第6条、正看護師には第5条という既定が定められています。
- 保助看法第5条⇒自らの判断により看護業務ができる
- 保助看法第6条⇒自らの判断による看護業務はできない
前述したように仕事内容は変わりませんが、准看護師と正看護師では自分の意思で仕事ができるかどうかという働き方の違いがあります。
仕事内容は変わらないが役割が異なると覚えておきましょう。
准看護師のメリット
ここからは、准看護師になるメリットを紹介します。
就職や転職に困らない
これは准看護師ではなく正看護師にもいえますが、准看護師免許を持っていれば基本的には就職や転職には困りません。
その理由は、クリニックや病院などで准看護師の数が足りていないからです。
数年前から、医療現場では看護師の人手不足が問題視されるようになりました。少子高齢化の影響もあり、医療、福祉、介護の現場では圧倒的に人材が不足しています。
医療看護需要の拡大と比例して、不規則な生活を強いられる仕事なので離職率が高いという理由も要因として挙げられます。
また、景気に左右される仕事でもありませんので、長期的に安定した収入を得られるという点も大きなメリットです。
短期間かつ安い費用で資格を取得できる
養成校へ通う年月は、看護師が3年間なのに対して准看護師は2年間です。期間が短いために資格取得までにかかる費用も安くなるため、看護師よりも低コストで准看護師は資格が取れます。
さらに、2年間の准看護師養成所は2種類の通学スタイルから自身のニーズに合わせて選択できます。
- 全日制⇒朝から夕方まで授業を行う
- 半日制⇒夜間に授業を行う
准看護師学校養成所は受験資格が中学校卒業なので、入試レベルも中卒程度にされています。半日制であれば働きながら資格の勉強ができるため、無理なく通える方法を選択しましょう。
看護師に比べて資格が取りやすく費用も安い点は大きなメリットです。
同年に複数回の受験が可能
准看護師試験は合格率が極めて高く、同年に別の都道府県で開催されている試験を受けることができるというメリットがあります。
前述したように、准看護師試験の合格率はここ5年間は96%を維持しています。また、仮に落ちてしまったとしても、別の都道府県で別日に開催されている試験を受けられます。
ちなみに、試験の出題内容や難易度は各都道府県で異なります。先に6ブロックで開催され、違う6ブロックは後日に開催されるので、同年に複数回の受験が可能です。
看護師試験は1年に1回しか受けられないため、これは大きなメリットであるといえます。
准看護師のデメリット
続いては、准看護師になるデメリットを紹介します。
業務内容がハード
充実した福利厚生や安定した給料を貰える一方で、准看護師は正看護師と同様の仕事をこなさなければいけないため、業務内容がハードというデメリットはあります。
昨今では人手不足が問題視されていますが、それは離職率が高いからです。
人の命を守るというプレッシャーはもちろんですが、業務内容は多岐に渡り、夜間でも患者のケアが必要になるため労働時間も不規則です。
正看護師に比べて給料の水準が低い
正看護師に比べて給与水準が低い点もデメリットとして挙げられます。厚生労働省が発表した「令和2年賃金構造基本統計調査」によれば、准看護師と正看護師では下記の給料の違いがあります。
准看護師 | 正看護師 | |
月収 | 28万8,000円 | 33万8,400円 |
賞与 | 67万4,100円 | 85万7,500円 |
年収 | 413万100円 | 491万8,300円 |
月収にすると約5万円、年収では約80万円の開きがあることがわかります。
給与水準に開きが出る理由としては、看護師の指示を受けて業務をする准看護師が管理職へ昇進するのが難しいという点が挙げられます。
准看護師は看護師へ業務の指示を出せないため、リーダー職や管理職へ昇進して給料を上げることができません。その点も給料に差が出ている大きな要因として考えられます。
業務内容がほとんど同じであるにも関わらず給料が低いというのは、デメリットと感じる方が多いのではないでしょうか。
まとめ
准看護師の仕事内容、正看護師との違い、なる方法、メリットとデメリットを詳しく解説しました。
正看護師とほぼ同じ業務内容をこなす准看護師は、医療現場に必要不可欠な存在です。医療現場では人手が不足しているため、就職や転職で困ることはないでしょう。
しかし、業務内容がハードで正看護師と給料に差がある点はデメリットです。また、正看護師へ業務の指示を出せないため、キャリアアップが難しいという点も無視できません。
とはいえ、仕事をしながらでも短時間で資格が取れる点や、試験の合格率の高さなどは大きなメリットです。
慢性的に人手が不足している業界であり、准看護師として働きながら看護師を目指すことも可能なので、准看護師になりたい方はぜひこの記事を参考にしてみてください。