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理学療法士のキャリア形成とは?具体的な方法と役立つ3つの資格

  • 理学療法士

理学療法と呼ばれるリハビリを行う理学療法士。

理学療法士は、人が日常生活を送るうえで不可欠な基本的動作能力の回復を図る専門職です。国家資格であり、受験資格を得るためには、文部科学大臣が指定している養成校にて規定のカリキュラムを修めて卒業する必要があります。

しかし、無事に国家資格に合格して理学療法士になれたとしても、スタートはここから。社会に出てから皆さんが絶対に考えなければいけないのが、理学療法士になってから将来的にどのようなキャリアを歩むのかという点です。

キャリア形成を考えることで、理学療法士としての働き方を明確にできます。本記事では、キャリアアップを図るために必要な資格と方法を紹介していきますので、具体的なキャリア形成を考えたいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

理学療法士のキャリア形成とは

 

キャリア形成とは、人生の中で職業経験を継続して積んでいくプロセスを指します。

出世、キャリアアップ、スキルアップという意味でキャリア形成は使われることが多いですが、実はそれだけではありません。自分が日々の仕事に向き合う上での目標を決めるという目的もあるため、出世欲がない方でもキャリア形成はきちんとしておくべきです。

理学療法士のキャリア形成とは、普通の仕事のように「高い地位に就いて出世する」ことではなく、「高い専門性を身に付けること」であるといえます

時代は常に変化していきます。目まぐるしく変わるニーズに対応するためには、常に勉強して自分自身の知識と実力をステップアップしていかなければいけません。

理学療法士になってから勉強せずに過ごしていると、対象となる人に対する適切な治療ができなくなるような事態に陥る可能性もあります。

そのため、理学療法士としてキャリア形成を考えている方は、「出世をする!」ではなく、「自分が何をしたいか」を考えることが重要です。

最終目標が定まっていれば必要な資格や仕事への向き合い方が必ず見えてきますので、キャリアアップを考えている方は以下で紹介する方法と資格をぜひチェックしておいてください。

理学療法士としてキャリアアップをする具体的な方法

 

理学療法士としてのキャリア形成とキャリアアップは切り離せません。ここからは、キャリアアップをするための具体的な方法を紹介していきます。

資格を取得する

理学療法士には、キャリアアップを実現できるさまざまな資格が用意されています

現在関わっている仕事に活かせる資格や、新しい分野へと仕事の幅を広げることができる資格が望ましいです。しかし、いずれの資格を取得しても今後のキャリア形成には役立つため、自分の最終目標をきちんと見極めながら検討してください。

理学療法士の他に複数の資格を取得しておけば、自分の得意分野が広がります。分野が広がればそれだけさまざまなキャリアを歩める可能性が広がるということになりますので、理学療法士として働きながら資格を取得するのは道を模索できるチャンスでもあります。

理学療法士としてキャリアアップをしたいと考えている方におすすめの資格は、以下の項目で詳しく説明していきますので、興味がある方はぜひそちらもチェックしてください。

職場でのステップアップを目指す

理学療法士には、ひとつの職場に長く勤めて出世するという道もあります。

日本理学療法士協会の会員分布によると、理学療法士の有資格者の56%は病院に就職します。次いで診療所が約8%、医療福祉中間施設が約6%、老人福祉施設が約2%と続きます。

職場でのステップアップの目標としては、臨床現場をまとめる主任、課長、管理職への道があります。実際に臨床現場へ出るのではなく、所属している課をまとめる能力や新人への指導教育のスキルが重要になるため、その地位へ到達するためにはある程度の在籍年数が必要です。

職場でのステップアップに必要な資格はありませんが、新人へ教育するために十分な臨床知識を有している必要はあります。

特定の専門性を高める

専門性を高め、理学療法士のスペシャリストとしてキャリアアップを目指す道があります

理学療法士はリハビリのスペシャリストですが、ここでいうスペシャリストはそういう意味ではありません。理学療法士には専門性が高い「スペシャリスト」と「ジェネラリスト」というそれぞれの道があります。

その中でもひとつの分野を極めるのがスペシャリスト。資格を取ったり大学院へ進むなどの選択肢があり、特定の分野における極めて高い専門性が備わっているため、特定の専門性が高い臨床現場において高い価値を見出す存在となります。

スペシャリストは臨床現場で対象者の治療を行うのはもちろんですが、その他にも、養成校で教員として指導する、セミナーを開催して後輩を育成するなどの役割を担います。

スキルを活かして別の仕事に就く

理学療法士としてのスキルは他の仕事にも活かすことができます。

たとえば、医療介護に関する会社のコンサルティング、保険会社の営業、医療介護機器の開発に携わる仕事や営業などです。医療介護においては理学療法士ほど深い知識を有している方はいませんので、その知識を活かして民間企業へ転職する方も少なくありません

民間企業でも、リハビリをサービスとして提供している会社はさまざまあります。転職を考えている方は、自分の強みを発揮できる会社への就職をおすすめします。

また、民間企業だけではなく行政で働く方もいます。行政職員として働く場合は基本的な理学療法だけではなく、所属する課の事務的な仕事も行う必要があります。しかし、専門職としてより広範囲に渡る仕事ができるはずです。

知識を活かして起業する

健康、マッサージ、美容などの分野で起業を目指す理学療法士も増えています。

それ以外にも最近では、リハビリ関連のアプリ開発会社、医療介護におけるサービス会社、セミナー会社など、理学療法士の専門的な知識は起業をする際にも役立ちます

起業の際は、理学療法士の知識はもちろんですが、専門的な知識を活かしながらビジネスを行っていくために専門性の高い資格の取得はぜひ目指してみてください。

理学療法士のキャリア形成に役立つ資格を紹介

 

最後に、理学療法士としてのキャリア形成を考えている方に役立つ資格を紹介していきます。資格の特徴、メリット、要件を紹介していきますので、ぜひご覧ください。

認定理学療法士

理学療法士の専門性をより高めることを目的にしているのが「認定理学療法士」です。

そもそも日本理学療法士協会は、理学療法士の生涯学習の一環として、認定理学療法士の資格取得を目指すことを推奨しています。しかし、現状では取得者数は約6%と少ないため、決して多いといえる数字ではありません

資格として認定理学療法士を取得する最大のメリットは、質が高く豊富な知識を得られるという点です。希望領域を含む専門分野登録をしてから2年以上が経過しているなどの申請条件はありますが、認定理学療法士の資格取得は長い目で見れば必ずキャリアアップに役立ちます。

ちなみに、認定理学療法士は7つの専門分野と23の領域から成っています。

  • 基礎理学療法専門分野
  • 神経理学療法専門分野
  • 運動器理学療法専門分野
  • 内部障害理学療法専門分野
  • 生活環境支援理学療法専門分野
  • 物理療法専門分野
  • 教育管理理学療法専門分野

それぞれの専門分野には異なる領域が割り振られています。また、資格を取得した後も高度な専門性を保ち続ける必要があるため、5年毎に資格の更新が義務付けられています。

呼吸療法認定士

3学会合同呼吸療法認定士とも呼ばれている「呼吸療法認定士」は、「特定非営利活動法人日本胸部外科学会」「一般社団法人日本呼吸器学会」「公益社団法人日本麻酔科学会」が合同で創設している理学療法士の認定資格です

呼吸療法認定士の資格を取得することで、リハビリを中心として医療施設や介護施設でのスキルを身に付けることができます。呼吸器系の診療科がある病院では採用時に有利に働くだけではなく、資格手当がある職場では給料アップが期待できます。

また、仕事では人工呼吸サポートチームへと優先的に配属されるため、欠かせない貴重な人材として重宝されます。多くの医療現場では適切な呼吸管理は不可欠なので、呼吸療法認定士の資格取得者はどこでも貴重な人材として重宝される存在です。

福祉住環境コーディネーター

東京商工会議所が認定している「福祉住環境コーディネーター」は、基本的動作能力が欠落している高齢者や障がい者の方に対して、快適に暮らせる住環境を提案できる資格です。

理学療法士が福祉住環境コーディネーターの資格を取得することで、豊富な知識により自宅復帰の支援を行えるようになります。また、資格取得段階で福祉用具に対する豊富な知識も身に付くため、リハビリの手助けに活かすことも可能です。

前述した2つの認定資格と違う点としては、受験資格がないところです。学歴、年齢、勤務歴などのハードルがありませんので、誰でも取得を目指せます。しかし、1級から3級までの階級があり、最上級である1級の取得を目指す場合は2級を取得していなければいけません。

まだまだ認知度の低い資格ではありますが、理学療法士のように福祉や介護に携わる職種であれば、質の高いリハビリの提供へと繋げることができるようになります。スキルアップになるだけではなく自分の強みにもなりますので、ぜひ取得を検討してみてください。

まとめ

理学療法士としてキャリアアップできる具体的な方法と資格を紹介していきました。

キャリア形成を考えるうえで重要なのは、自分が目指すべき道を考えるということ。そのためには、具体的に理学療法士としてどういうキャリアを積めるのかを考えてください。

キャリアアップを図るためには資格の取得がおすすめ。理学療法士は出世をする、給料を上げるということを目指すのではなく、まずはスキルを習得してから、その後に出世や給料アップが付いてくるというキャリア形成となります。

理学療法士としてどのようなキャリアを歩めるかを考えたうえで、自分が取得すべき資格の習得を目指してください。