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理学療法士の学科で学ぶ内容と国家試験について

  • 理学療法士
理学療法士 国家試験

理学療法士は、理学療法を用いて怪我や病気で障害を抱えてしまっている方、加齢によって運動能力が低下している方に対してリハビリを行います。

幼い頃に家族が理学療法士にリハビリをしてもらっている姿を見て目指すようになった方、自分自身が怪我をしてリハビリを経験した方など、理学療法士と触れ合ったことで目指すきっかけになったという方が多いようです。

そんな憧れの職業である理学療法士は、国家試験に合格することで資格を取得できますが、国家試験の受験資格を得るには養成校と呼ばれる学校で3~4年間学ぶ必要があります。

この記事では、理学療法士の学科で学ぶ内容と理学療法の種類、国家試験について、作業療法士との違いについても詳しくご紹介します。

これから理学療法士になるための養成校に通うことを考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

理学療法士の学科で学ぶ内容

リハビリ 平均棒

理学療法士の養成校には、大学(4年制)、短期大学(3年制)、専門学校(3年制、4年制)があり、それぞれ学ぶ内容は決まっています。

まずは、理学療法士の学科で学ぶ内容をご紹介します。

基礎分野

基礎分野では以下のような内容を学びます。

  • コミュニケーション学
  • 心理学
  • 法学
  • 経済学
  • 統計学
  • 生化学
  • 体育学
  • 英語 など

1年次に学ぶ基礎分野では、人とうまくかかわる能力を身につけるコミュニケーション学や、理学療法士として働くうえで必要な心理学、基礎的な英語の読解や会話能力を養うなど、理学療法士としての基礎とともに、社会に出るにあったって必要となる基礎を学びます。

基礎科目の内容は学校によってさまざまで、上記は一例となり、このほかにも医学英語や数学が基礎科目に入っている学校もあります。

専門基礎科目

専門基礎科目では以下のような内容を学びます。

  • 解剖生理学
  • 運動学
  • 人間発達学
  • 病理学
  • 臨床医学
  • 生理学
  • 内科学
  • 小児科学
  • 老年学
  • リハビリテーション医学
  • リハビリテーション概論
  • 保健医療福祉とリハビリテーション など

専門基礎科目では、専門職として必要となる医学的な基礎知識を学びます。疾病や障害を学ぶとともに、その回復のメカニズムも学んでいきます。

また、支援が必要な方の健康や機能などを科学的に把握して解析することで、論理的な対応をどのように考えたらよいかを学びます。

専門科目

専門科目では以下のような内容を学びます。

  • 基礎理学療法学
  • 理学療法評価学
  • 理学療法治療学
  • 地域理学療法学

理学療法士としての基礎的知識だけではなく、技術も習得します。また、地域で理学療法士として働く際に必要となる、地域社会に関する知識なども学びます。

臨床実習

臨床実習では以下のような内容を学びます。

  • 評価実習
  • 臨床実習

3年次や4年次は実際の医療現場で学習する臨床実習が多く行われます。臨床実習は座学で学んだことを実践し、自分に足りない能力を把握して新たな学びにするなど、理学療法士として働くうえで必ず必要な実習です。

臨床実習の経験によりそれまで学んできたことを実践できるため、社会に出て理学療法士として働く際の心構えや、患者さんとのかかわり方なども学べる機会となります。

臨床実習は全体で計18週間という長い期間で実施されます。実際に働く理学療法士の方から指導を受けながら、多くの患者さんとコミュニケーションをとりながら行う最も重要な授業です。

理学療法の種類

理学療法士になるには

リハビリを行うにあたり理学療法士が行うのは、運動療法と物理療法です。

ここからは、ふたつの理学療法の種類について詳しくご紹介します。

運動療法

運動療法とは身体の一部や全体を動かして、症状の回復や運動機能の回復を促すことで、以下のようなメニューがあります。

  • 関節可動域運動
  • 筋力トレーニング
  • 座位、立位バランス練習
  • 歩行練習
  • 階段昇降練習
  • 寝返り、起き上がり、立ち上がりの動作練習 など

運動療法では、運動によって障害や疾患の改善や予防を図ります。生活習慣病の改善や心臓リハビリテーション、脳卒中後の身体麻痺、骨折などの整形疾患に対して用いられます。

運動療法の中には、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動、筋トレなどの無酸素運動も含まれます。

マッサージやストレッチを行いながら関節の動きを改善させて、おもりやセラバンドなどを使って腕や足の運動を行います。

物理療法

物理療法は、温熱、寒冷、電気刺激などの物理的なエネルギーによって、症状の改善や痛みの回復を促す治療で、以下のようなメニューがあります。

  • アイスパック
  • ホットパック
  • 干渉派
  • ウォーターベッド
  • 渦流浴
  • 低周波治療
  • 超音波治療 など

患部の状況によって、アイスパックやホットパックを使って痛みを軽減します。

また、さまざまな機械を使うことによって、痛みの軽減や神経麻痺の改善、筋力増強、腫れの軽減など、症状や患部に合わせて適切な機器を使って物理療法は行われます。

理学療法士国家試験について

老人 リハビリ

理学療法士になるためには養成校で必要な単位を取得したのちに、国家試験を受けることになります。

ここからは、理学療法士の国家試験についてご紹介します。

合格率

2021年2月に行われた第56回の理学療法士国家試験の結果は、受験者数11,946名に対して合格者数は9,434名、合格率は79.0%となっています。

過去5年間の合格率は以下のようになります。

  • 2016年…74.1%
  • 2017年…90.3%
  • 2018年…81.4%
  • 2019年…85.8%
  • 2020年…86.4%

合格率が80%を下回る年もありますが、ほぼ80%を超えていることから、養成校でしっかり学習することで国家試験に合格できる方は多いという結果です。

学校によって国家試験の対策も変わってくるので、国家試験対策をしっかり授業のなかに取り入れ、勉強のサポートをしてくれるような学校を選ぶことが重要です。

試験内容

理学療法士の国家試験は一般問題と実地問題の2種類で行われ、マークシートの選択問題となっています。

合格基準は総得点の6割程度ですが、実地問題で3割程度は得点が必要になるので、バランスよく解答することが重要となります。

全部で200問出題され、試験時間は午前と午後で2時間40分と長時間になります。試験の問題は、CTなどから診断をつける内容や、用語の意味などを理解できているかといった内容で出題されます。

それぞれ以下のような分野から出題されます。

一般問題

  • 解剖学
  • 生理学
  • 運動学
  • 病理学概論
  • 臨床心理学
  • リハビリテーション医学
  • 臨床医学大要
  • 作業療法

一般問題は160問出題され、1問1点として計算されます。

実地問題

  • 運動学
  • 臨床心理学
  • リハビリテーション医学
  • 臨床医学大要
  • 作業療法

実地問題では、授業で習う内容に加えて実習で培ったことが問われるような問題が出題されます。

問題数は40問で、1問3点として計算されます。

登録について

国家試験に合格したら、理学療法士の免許を正式に取得するには登録申請をする必要があります。

保健所に申請書類などを提出する手続きで、登録申請を行うことで、厚生労働省が管理する有国家資格者の名簿に登録され、理学療法士として働けるようになります。

提出書類は免許申請書、戸籍抄本、健康診断書などが必要なので、漏れのないように準備して自身の住所がある保健所に提出するようにしましょう。

理学療法士と作業療法士の違い

松葉杖 理学療法士

理学療法士とよく似た職業で、間違われやすいのが作業療法士です。作業療法士も理学療法士と同じように国家資格となり、リハビリを行う職種です。

二つの有資格者が行うリハビリを簡単にまとめると以下のようになります。

理学療法士 作業療法士
目的 基本動作の回復、維持、悪化予防 応用動作、社会適応のための能力回復
内容 起き上がる、車いすへの移乗、歩行、筋力強化など 食事、入浴、着替え、スポーツ、手先を使った作業など

理学療法士と共通する部分もあることから、養成校では同じ授業を受けるケースもありますが、大きく違う部分は作業療法士は作業療法をもとにリハビリを行うという点です。

理学療法士が日常の基本的な動作に対するリハビリを行うのに対して、作業療法士は食事、入浴、着替えといった、具体的な動作を行うためのリハビリになります。

作業療法士は手の動作や細かい動作に対するリハビリを行うとともに、精神分野のリハビリも行えるため、精神科の病院などでも活躍できる資格です。

現在日本では理学療法士も作業療法士も足りていない状況が続いています。

2020年3月末時点での有資格者が、理学療法士が182,893名に対して、作業療法士が94,255名と、作業療法士は理学療法士の約半分の人数となっています。

理学療法士も作業療法士も活躍するシーンが増えているので、今後さらに必要とされる職業として注目されています。

まとめ

理学療法士の学科で学ぶ内容と理学療法の種類、国家試験について、作業療法士との違いをご紹介しましたが、参考になりましたか?

理学療法士は養成校で必要な単位数を取得することで、はじめて国家試験の受験資格を得られます。

養成校で理学療法士になるための知識や技術を学び、国家試験に合格して理学療法士として希望する職場で働くことになります。

理学療法士は医療の現場や福祉の現場で必要とされている存在です。今後、さらにニーズが高まると予想されるので、理学療法士を目指す方にとってやりがいのある仕事になることでしょう。

埼玉県幸手市にある「日本保健医療大学」では、学生一人ひとりに目をかけ、声をかけ、時間をかけることを大切に指導しています。

学習面や生活面のあらゆる悩みに教員が全力で寄り添い、さまざまな取り組みをしながら4年間しっかりサポートします。

最新の医療の場で活躍できるよう、学校内にはさまざまな実習室が設けられ、実習の経験を現場で活かすことができるような環境を整えています。

国家試験対策も万全で、出題傾向を把握した正確な情報提供や、学習方法のアドバイスを行い、国家試験受験から登録までのさまざまな手続きのサポートも実施します。

理学療法士を目指しているという方は、専門知識を持った教養人の育成を目指す「日本保健医療大学」に、ぜひお問い合わせください。