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地域医療の活性化に必要な3つのことと支える職種

  • 医療全般
地域医療の活性化

地域医療構想とは、人口のボリュームが大きい団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて、現状の医療提供体制を再構築することを目指した制度です。

地域によって将来の人口動向は違っているため、高齢者のピーク、医療需要総量のピークに向けて、地域ごとに医療体制を整える必要があります。

地域医療構想をもとに、各自治体では地域医療の活性化を図り、さまざまな取り組みをはじめていますが、2025年を医療崩壊させずに迎えるためには地域でどのような取り組みを強化する必要があるのでしょうか。

この記事では、地域医療構想について、地域医療を活性化させるために必要なこと、地域医療を支える職種についてご紹介します。

地域医療に貢献したいと考えている方、将来の進路に迷っている方はぜひ参考にしてみてください。

地域医療構想とは

近年日本では、少子化が加速している反面、65歳以上の高齢者は増加していて、このままでは医療制度において問題が増えると危惧されています。

2017年には65歳以上の高齢者の割合は27.7%となり、日本人の4人に1人が高齢者という状況を迎えています。

2025年には後期高齢者の数がさらに増え、生産年齢人口といわれる15~64歳の人口が減少することで、全体の人口数も減っていくとされています。

高齢者が増えていくのに対して、生産年齢人口が減るということは、高齢者を支える医療や介護に携わる人の数が減少することとなり、大きな社会問題に発展します。

そのため、2025年に急激に増えるといわれている高齢者の問題を解決するために策定されたのが、地域医療構想です。

地域医療を活性化させるために必要なこと

メモ 鉛筆

地域医療とは、地域医療構想をもとに各自治体で取り組んでいる医療体制の改革で、病院などの医療機関での治療といった枠組みにとらわれずに、地域住民の健康を支えていく体制のことです。

医師、看護師といった医療従事者が中心となって、地域住民の疾病の予防、健康維持、在宅療養、妊婦さんへの保健指導、子育て支援など、その活動は多岐にわたります。

ここからは、地域医療を活性化させるために必要な3つのことをご紹介します。

かかりつけ医を見つける

医療機関は以下の4つの機能区分に分けられています。

  • 高度急性期…高度な診断技術や高度な治療を必要とする急性期の患者さんに対して医療を提供する機能
  • 急性期…急性期の患者さんに対して状態の早期安定化に向けて医療を提供する機能
  • 回復期…急性期の治療が終了した患者さんに自宅に帰るためのリハビリテーションの提供を行う機能
  • 慢性期…長期にわたり療養が必要な患者さんを入院させる機能

このように、患者さんの状態によってかかる医療機関はさまざまです。不調を感じたときに自分で判断するのは難しいため、かかりつけ医がいることで適切な医療機関へ紹介してもらえます。

日本医師会では「健康に関することを何でも相談でき、必要なときは専門の医療機関を紹介してくれる、身近にいて頼りなる医師のこと」をかかりつけ医といいます。

「なんとなく体がだるい」「微熱が続いている」「食欲がない」など、どの医療機関に行ったらよいかわからないようなときでも、かかりつけ医がいることでなんでも相談できます。

必要があれば他の医療機関を紹介してもらえるので、入院や検査が必要というケースでも安心です。

在宅医療の充実

在宅医療とは、通院が困難な患者さんが自宅での療養を希望する際に、医師や看護師が自宅に訪問して診察を行うことです。

通院の負担が減り、自宅で自由に過ごせるというメリットがあり、今後医療機関が患者さんであふれてしまうという状態を回避するためにも、在宅医療が近年注目を集めています。

在宅医療は、医師だけではなく歯科医師、看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士、ケアマネージャー、ホームヘルパーなど、多くの方の連携により実現できます。

在宅医療は近年整備されつつあり、2006年には在宅療養支援診療所という、在宅医療を行うクリニックの規定が作られました。

全国でも在宅医療を行うクリニックや病院は増えていて、自宅で過ごしたいと願う患者さんの多くが、在宅医療を利用しています。

医療従事者の確保

政府は、地域医療構想の一環として、医療従事者の確保を各都道府県へ要請しています。

たとえば医師の確保として、大学所在都道府県の出身者が臨床研修終了後にその都道府県に定着する割合が高いことから、大学所在都道府県にて臨床研修を受けるよう、キャリア形成プログラムに位置づけるなど、具体的な取り組みを実施しています。

各都道府県では、この要請を受けてさまざまな補助金制度を設けるなど、医療従事者確保に向けて取り組みが活性化しています。

地域医療を支える職種

医療人 会話

地域の医療機関において、それぞれの専門性を活かして役割を分担して、協力しながら患者さんに適切な医療を地域で提供するために、医師だけではなく医師を支えるさまざまな医療従事者の方々とのチームプレーが大切です。

ここからは、地域医療を支える職種についてご紹介します。

看護師

医療人 サポート

地域医療で最も重要な役割を担うのが、看護師です。看護師は一人ひとりの体、病気、薬などさまざまなことを理解している状態であり、ちょっとした異変に気が付き患者さんや家族をサポートする大事な役割を担っています。

とくに、在宅医療において、患者さんの異変にいち早く気が付き、適切な医療機関へとつなぐ必要があります。

地域医療での多職種をつなぐ役割を担っている看護師は、医師と患者さん、薬剤師と患者さんなどをつなぎ、患者さんが地域でのびのび暮らしていけるように手助けをします。

ケアマネージャー

ケアマネージャーは、高齢者の方々に介護サービスの紹介をしたり、ケアプランを作成したりする介護支援専門員とも呼ばれる仕事です。

市区町村やサービス事業、施設、家族との連絡係にもなるケアマネージャーは、最初に利用者さん専用のケアプランを作ります。

その後、プランに沿って実施されているか、利用者さんとの面談などを通じて確認し、その都度ケアプランの変更も行います。

ケアマネージャーになるには、介護支援専門員の資格を取得する必要があります。

介護保険制度を利用して、一人ひとりに合わせたケアプランを作成し、介護サービスを取り入れたり、家族や医療機関と連携をとりながら、要介護となった高齢者に対するケアを行ったりします。

利用者さんやその家族との関わりは、考え方や価値観が異なることで困難と感じることもありますが、それ以上にやりがいが大きく、地域に貢献できる仕事です。

理学療法士・作業療法士

理学療法士や作業療法士は、家のなかで閉じこもっていて活動が低下してしまっている高齢者の方や、デイサービスに通う高齢者の方に向けて、歩行や移動能力の維持向上を中心にリハビリテーションを行います。

地域医療において、理学療法士や作業療法士が行うのは、介護予防や、地域のケア会議への出席です。

高齢者に直接的にアプローチを行い、リハビリテーションに携わるとともに、地域での会議に出席することで、理学療法や作業療法をもとに高齢者に向けて必要なケアを導き出し、地域医療に貢献できます。

理学療法士や作業療法士は需要が高まっているにもかかわらず、人出が不足している状態です。

現在、理学療法士や作業療法士を目指している方は、地域医療への参画を視野にいれることで、活躍の幅が広がることになります。

スポーツトレーナー

スポーツトレーナーは、スポーツ選手を技術面、体力面、精神面といったあらゆる方向から全面的にバックアップする人のことを指します。

スポーツトレーナーはとくに資格があるわけではありませんが、医療的な面のサポートをすることを考えると、以下のような資格を持っている方におすすめです。

  • あん摩マッサージ指圧師
  • はり師
  • きゅう師
  • 柔道整復師
  • 医師
  • 看護師
  • 理学療法士
  • 作業療法士

このような医療関係の資格をもっていると、選手の怪我の予防や実際に怪我をしてしまった際の応急処置、復帰するまでのリハビリテーションのサポートを行えます。

スポーツトレーナーが活躍できる場所は、フィットネス施設やプロスポーツチーム、企業のスポーツ施設など、さまざまな場面があります。

地域のスポーツチームやフィットネス施設での活躍は、地域医療に大きく貢献することとなり、近隣の病院、整形外科、整骨院などと連携をとりながら選手をサポートする役割を担っています。

まとめ

地域医療構想について、地域医療を活性化させるために必要なこと、地域医療を支える職種についてご紹介しましたが、参考になりましたか?

政府が推進している地域医療構想を実現するためには、地域医療を支える医療従事者の方々のサポートが非常に重要です。

2025年に医療現場をひっ迫させないためにも、医療従事者の確保を早急に進め、地域医療によって高齢者のサポートができる環境づくりが必要となります。

埼玉県にある「日本保健医療大学」は、地域医療に貢献したいと願う方が、看護師、理学療法士、スポーツトレーナーを目指せる学校です。

「あなたにかける、あなたを伸ばす」をスローガンにかかげ、学生一人ひとりの個々の力と個性を伸ばし、次世代の医療業界へと送り届けます。

最新の医療の場に準じた教育環境を完備しているので、目まぐるしく進歩する医療におくれをとることなく、学習に専念できる環境です。

看護学科、理学療法学科ともに国家試験に向けた手厚いサポートや、国家試験合格後の就職先の支援まで、4年間一人ひとりに寄り添った教育を行います。

学習面や生活面でぶつかるさまざまな悩みも、教員が共に考え、導くので、充実した学校生活を送れます。

英国への文化留学制度も設けているので、先進医療に触れながら英語力とグローバル力を養う機会も得られます。

地域医療に貢献することを夢見て、看護師や理学療法士を目指している方はお気軽に「日本保健医療大学」までお問い合わせください。