奨学金の種類とは?貸与型と給付型の違いや返還免除制度について解説
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経済的な余裕がなく進学のための費用を捻出できない場合でも、学ぶ意欲を持った学生が進学を諦めてしまうことのないよう学費・生活費を援助する「奨学金」という制度。
「返済できるか不安で利用できない…」と考えている方も中にはいらっしゃるかもしれませんが、奨学金の中には返済が不要な給付型の奨学金や、返還免除制度なども存在します。
この記事では奨学金の仕組み、種類、返還免除制度などについて詳しく解説していきます。
奨学金制度は、学生が安心して学業に集中できるようサポートしてくれる制度です。経済的な理由で進学を迷っているのであれば、まずは自分に合った奨学金制度を見つけてみましょう。
目次
奨学金制度とは?
奨学金とは、進学したくても経済的な理由で大学などの学校に通うことが難しい学生を援助するため、学費や生活費をサポートする制度のことです。
貸付型の場合、無利子かもしくは低利子で借りることができますが、学校を卒業した後に返済していくのは自分自身です。
そのため、奨学金を利用する前にまずはその仕組みや種類について詳しく知っておきましょう。
奨学金制度にはさまざまな種類がある
もっとも多くの人に利用されているのが独立行政法人の日本学生支援機構(JASSO)による奨学金ですが、そのほかにも国や地方自治体、NPO、企業、大学による独自の奨学金など、さまざまな奨学金制度が存在しています。
1か所の奨学金しか利用できないということはなく、併用できる奨学金もあります。経済的に困窮しているという場合は複数の奨学金を利用するという選択肢も考えられるでしょう。
どのくらいお金を借りることができるかは奨学金制度を設けている機関によっても異なるため、いくつもの奨学金制度を調べて、自分に合ったものを活用するといいでしょう。
大学生の2人に1人が奨学金を受給
奨学金制度を利用している大学生は多く、日本学生支援機構が行った「平成30年度学生生活調査」によれば大学(昼間部)の学生の47.5%、短期大学(昼間部)の学生の55.2%が何らかの奨学金を受給しているということがわかっています。
これは、大学生・短大生の2人に1人は奨学金を利用して学校に通っているということになり、非常に多くの学生が奨学金を借りて自分の学びたい分野の勉強に励んでいます。
奨学金制度はどんな人が利用できる?
奨学金制度の対象となるのは、下記のような学生です。
- 高等学校
- 高等専門学校
- 大学
- 短期大学
- 大学院
- 専門学校
- 海外の学校進学者
- 通信制高校・大学の進学者
浪人生の場合、卒業後2年以内に入学が認められ、進学予定であれば奨学金を利用することができます。
これから入学するという新入生のほか、大学2年次から奨学金を借りたいなど、在学生が申請して奨学金を利用することもできます。
なお、奨学金制度は誰でも利用することができるわけでなく、学力や収入などの基準を満たす必要があります。
誰でも簡単に好きなだけ学費や生活費を借りることができるわけではなく、申請が通らないケースもあります。
看護・医療系を目指す人は返還免除制度も
看護や医療系の学校は一般的な大学や専門学校に比べると、学費が高額になる傾向がありますが、そんな看護・医療系の学校に設けられているのが返還免除(返還支援)制度です。
看護師や理学療法士、作業療法士、医師、薬剤師などを目指すために入学し奨学金を利用して卒業した後、地方自治体など奨学金を貸与した機関が指定する施設で働くなどの条件を満たすことで、奨学金の返還が免除となります。
制度の利用条件や制度の内容はそれぞれの機関によっても異なるため、申請前に制度についてしっかり調べておくようにしましょう。
病院奨学金制度といって、病院が学費の貸与を行い、その病院で3年から5年勤務することで奨学金の返済が免除になる制度もあります。
奨学金を活用することで在学中の経済的な不安をなくせるため、学校での勉強にしっかりと集中することができるでしょう。
奨学金制度は大きく分けて2種類
奨学金というと必ず返済しなければいけないというイメージがあるかもしれませんが、実は返済の必要がない給付型の奨学金も存在します。
- 貸与型奨学金…返済の必要がある(無利子もしくは低利子)
- 給付型奨学金…返済の必要がない
ただし、給付型の奨学金の支給条件は厳しく、日本国内の奨学金の利用者の約90%が貸与型の奨学金を利用しています。
ここからは、もっとも利用されている奨学金制度である日本学生支援機構の貸与型奨学金と給付型奨学金についてご紹介します。
貸与型奨学金
貸与型は学費や生活費を「借りる」奨学金のことで、在学中は返済の必要はありませんが、学校を卒業した後は自分自身で借りたお金を返済していく必要があります。
貸与型奨学金には、無利子で借りられるものと、利子付のものがあります。
利子付のものは借りた額よりも大きな額を返済しなければいけないため無利子の奨学金を希望する学生が多いですが、選考基準が厳しいため利子付の奨学金を利用している学生が多いです。
貸与型奨学金のメリット | 貸与型奨学金のデメリット |
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国内の奨学金(貸与型)
日本国内の大学、短大、高等専門学校、専修学校、大学院で勉強する人が利用できるのが、下記の3つの奨学金です。
- 第一種(無利子)
- 第二種(利子付)
- 入学時特別増額
第一種(無利子)
第一種は無利子で借りることができる奨学金です。
対象者 | 国内の大学、短大、高等専門学校、専修学校、大学院に在学する学生や生徒 |
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利子 | 無利子 |
貸与額 | 学校種別、設置者、入学年度、通学形態によって定められた貸与月額を選択 |
選考 | 特に優れた学生や生徒、経済的な理由で修学困難な方 |
返還方式 | 定額返還方式もしくは所得連動返還方式 |
第二種(利子付)
第二種は利子付きのタイプで、借りた額よりも多く返済する必要があります。
対象者 | 国内の大学、短大、高等専門学校、専修学校、大学院に在学する学生や生徒 |
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利子 | 年3%が上限(在学中は無利子) |
貸与額 |
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選考 | 第一種よりも審査基準はゆるやか |
入学時特別増額
入学時特別増額は第一種奨学金もしくは第二種奨学金と同時に申し込むことができる利子付の奨学金で、入学した月の分の奨学金の月額に一時金として貸与されます。
貸与額は5種類から自由に選択でき、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」に申し込んだものの、利用できなかった方が対象です。
海外留学の奨学金(貸与型)
海外へ短期留学をする、学位取得のために海外の大学院に進学する方などが利用できる貸与型奨学金が、下記となっています。
- 第二種奨学金
- 第二種奨学金(短期留学)
- 第一種奨学金(海外協定派遣対象)
- 第一種奨学金(海外大学院学位取得型対象)
第二種奨学金(海外)
学士号、修士号、博士号などの学位を取得するために海外の大学・大学院へ進学する人、もしくは在学中の方が対象です。
申し込み方法は国内の学校を卒業した時期や進学時期によっても異なり、予約採用と在学採用の2つがあります。
- 予約採用…海外の大学・大学院に進学する前に奨学金を申し込む
- 在学採用…海外の大学・大学院に進学した後で奨学金を申し込む
第二種奨学金(短期留学)
日本国内の大学、大学院、短期大学、高等専門学校、専修学校に通っている間に海外の大学・大学院・短期大学に短期留学したいという方向けの奨学金(利子付)で、申し込むためには在籍している学校の校長の推薦が必要です。
推薦後は、日本学生支援機構が家計基準を満たすかどうか選考し、結果を通知します。
第一種奨学金(海外協定派遣対象)
海外留学支援制度(協定派遣)の給付を受けたものの、さらに経済的な支援が必要という方が対象の奨学金です。
在学中の学校を通じて申込みを行い、国内の第一種奨学金の在学採用の場合と選考基準は同様です。
第一種奨学金(海外大学院学位取得型対象)
海外留学支援制度(大学院学位取得型)の給付を受けたものの、さらに経済的な支援が必要という方が対象の奨学金です。
申し込み方法は海外留学支援制度に採用された時期などによっても異なり、予約採用もしくは在学採用で申込み可能です。
給付型奨学金
給付型奨学金は「給付」であるため返済の必要はありません。
学生にとって多くのメリットがある奨学金制度ですが、受給のための基準が厳しく、給付型奨学金を利用できる学生は多くはありません。
しかし、日本学生支援機構では2020年4月から給付型奨学金の対象者が拡大されたため、以前よりも利用しやすくなっています。
給付型奨学金のメリット | 給付型奨学金のデメリット |
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国内奨学金(給付型)
2020年4月から新しく始まった新制度の対象となるのは住民税非課税世帯もしくはそれに準ずる世帯の学生です。
給付型奨学金が支給されるほか、入学金や授業料が免除・減額となります。
高校生や大学生などが利用でき、それぞれ申し込み資格や選考基準が異なりますので日本学生支援機構のホームページから確認してみましょう。
海外留学奨学金(給付型)
日本国内の大学、大学院、短期大学、高等専門学校、専修学校が在籍学生を海外の派遣先大学などに8日以上1年以内の期間で派遣する場合、資格や要件を満たした学生に対して支援を行う制度です。
奨学金の月額は都市によっても異なり、一定の家計基準を満たした場合はさらに渡航支援金16万円が給付されます。
まとめ
多くの方が利用している日本学生支援機構の奨学金制度のほかにも、国や地方自治体、大学や企業によるものなど、奨学金制度はさまざまな種類があります。
返済の必要がない給付型奨学金の場合、審査基準が厳しいため多くの場合は貸与型奨学金を利用することになりますが、看護・医療系の学校に進学し一定の条件を満たした場合は奨学金の返還が免除になるなど、奨学金によっても特徴は異なります。
自分が利用できる奨学金にはどのようなものがあるのか、いくつも調べてみて、もっとも自分に合った奨学金を利用するといいでしょう。